2011年10月21日金曜日

グーグル役員が、合コンで...

傍目八目。相場格言としても用いられる言葉で、株式市場の当事者よりも第三者のほうが相場の流れを読めるのではないかという意味だ。

その第三者は誰でもいいというわけではなく、傍らで経済の動向を見ている者でなくてはならない。今回その適任者として選んだのは、合コンセッティング業務を行う会社を営む、絵音氏だ。

絵音氏はこの3年で約1000回もの合コンを手配し、自らも参加したという強者なのだが、果たして合コンに経済の動向はどう絡むのか?

「ここ数年、合コンは接待にかなり使われてます。実際、私が会社を設立したのも、お得意様に『会社にして領収書を切ってくれれば経費で落とせるのに』と言われたのがキッカケですから(笑)。
それで連日のように接待合コンをやっていると、流れが見えてくるんですよ。そのとき元気のある業種がなんとなくわかるんです」

確かに接待とはいえ、合コン。お金に余裕がある=業績が好調でないとできない遊びであろう。

では、過去にどのような業種が合コンに励んでいたのだろうか?

「2005年から06年はIT系の人がほとんどでしたが、ホリエモンさんがいなくなると同時に消沈(笑)。
次に台頭したのが不動産で、08年後半くらいまで羽振りがよかったですね。でもリーマンショックで不動産関係が消えて、一気に増えたのが大手コンサルタント会社です」

落ち込む会社を救おうとする業種の台頭。わかりやすい図式だ。

「09年になると出会い系ばかりになりました。それも10年になると消えて、逆に固定客だった官僚さんやお医者さんが目立つという、つらい状況に。中国からのお客さんは結構いましたけど、合コン業界はかなり不況でした。
でも、そんななかで目立っていたのが眼科医さんなんです。6月くらいに増えたのを感じ、秋くらいには確信に。
なんでだろうと思って聞いたら一緒に来ているのがレーシック関係の業者さんだったんですよ」 確かに昨年末は雑誌の広告などもレーシック関連が急増していた。

「眼科医さんは年明けてからも元気ですね。あとは08年以降、全然見かけなかったゴールドマンさんなどの外資系金融も昨年秋以降は万券を撒くといった元気な姿を見かけるようになりました(笑)。
ほかには鹿島さんなどの大手ゼネコンも秋以降は復活してますし、アパレルでは109ブランドかな。まあ、一番絶好調なのはグーグルさん関係で、役員さんとか、ヤバイくらい元気ですけどね(笑)」

以上、合コン現場で元気な企業や業種はわかったが、実際の市場ではどうなっているのだろうか?

さて、合コン市場で羽振りのよい業界は、本当に株市場でも勢いがあるのだろうか。論より証拠ということで、証券アナリストの小川佳紀氏に、絵音氏のコメントに対する市場分析をお願いした。

「まず、レーシックですが、もともと医療は全般的に景気に左右されにくい安定性の高い業界です。
そのなかでも、レーシックに関しては、昨年までの不況にもかかわらず、年々手術者数は増加しており、いまや約40万人規模の市場に成長し、景気は上向き。
関連の銘柄としては、大手製薬会社や眼科関連機器は王道ですね。また、景気のよい業界は人材の移動が活発になるので、医療系転職業界も注目。特に最近業績がよいのは『m3.com』という医療情報サイトを運営するエムスリーです」

年始からの景気の上向き傾向が続けばより手術者数も増加し、株価がさらに跳ね上がる可能性も。

そして、続いては合コン市場では一時「音信不通」に陥ったが、見事に復活を果たした外資系金融。

「外資系金融に関しては、現在、かなり好調のようです。その理由としては、中国のインフレぶりを危惧した海外投資家が、中国から日本にアジアの投資先を切り替えるという動きがあり、それが現在、日本の株式市場を活発化させています。
この傾向は今後まだまだ続きそうなので、外資系金融は、今年さらに盛り上がりを見せるのではないでしょうか」

そして続いてのゼネコンも、リーマンショックの煽りを受け、不景気かと思われていた業界だが。

「確かにリーマンショック以降、不動産は大不況に見舞われていました。10年3月期の決算でも赤字の企業が大半の状態。
でも、マンション販売が回復傾向で、先日も首都圏における販売実績が6年ぶりのV字回復を見せるなど、勢いが戻りつつあります。
それゆえ、鹿島や大成建設などの大手ゼネコン銘柄を中心に、今後上昇の兆しは考えられます」

全国的にもマンション販売は、5年ぶりのプラスを記録。不景気から一転、合コンに行く余裕が出てきたというのもうなずける。

そして絵音氏いわく「一番アパレル業界で勢いがあった」と語る、109ブランド勢。女性対象の業界なだけに、絵音氏の分析にもより一層の信憑性が増すところだ。

「アパレルブランドは、昨年海外進出をした企業が多かったんですが、109ブランドならサマンサタバサジャパンリミテッドが注目。
先日はアジア進出の第一歩として、台湾に2店舗オープンするなど、現在、勢いを増していますね」

日本国内でもAKBの板野友美や日航とのコラボなど、ほかのアパレルに比べて頭ひとつ抜けた感があるサマンサタバサ。業績アップへの期待が高まるところだ。

そして最後は、グーグル。すでにここ数年の勢いは目覚ましいものがあるため、合コン市場で「一番絶好調」と称されるのも納得できる。
だが、海外企業のため、日本では残念ながら非上場だ。

「グーグル関連銘柄のなかでも、やはり注目はスマートフォン周辺。現在、日本ではまだiPhoneのほうが人気ですが、つい先日、アンドロイドが世界のスマートフォン市場のシェア33%を獲得して世界1位に。
これを受けて、日本でもシェアが伸びる可能性はあります。また、以前、iPhoneブームの頃は、アプリ開発で儲ける企業も多く、アプリ関連銘柄が人気でした。
最近はiPhoneアプリだけでなく、アンドロイド対応アプリの増加も目覚ましいです。モバイルシステム開発企業のテックファームをはじめ、アンドロイド対応アプリの関連企業への注目度も高いですね」

結果、絵音氏の合コン市場分析と、ほぼ一致することが判明。それにしても、懐が潤った男がまず手を出すのは女……とは、なんともわかりやすい図式と言えよう。